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Log Book 雑記


恐怖の竜巻、危機一髪で命拾い 2014/5/26(月)

添付画像 添付画像
2014年4月27日から29日にかけてアメリカ南東部を横断していった強烈なストームにより発生したトルネード(竜巻)の被害は、とんでもないものでした。

特にその前半地域であったアーカンソー、ミシシッピ州あたりの被害は相当なものだったので、ひょっとしたら日本のニュースでもちらっと流れたかもしれません。

が!それ以外の地域も被害は多大にあったのです。

そもそも海外(日本)へ流れていくこの手のニュースというのはヘッドライン的に最も過酷な部分のみを「チラ見」程度にしか取り上げないことが多いため、今回はまるでアーカンソーとミシシッピでしか竜巻の被害は起こっていないかのような伝わり方しかしていないようで、たった2つの州でしか発生していないような誤解を招くかもしれません。
実際にはもっと広範囲を3日間にわたって東へ移動しながら最後には東海岸のノースキャロライナ州まで、南部の各州を点々とトルネードが破壊し続けて横断した、大規模なものだったのです。

もっとも酷かったのが発生前半のアーカンソーとミシシッピだった、というだけです。実際には、そのほかの南東部の多くの州で、広範囲にわたって大きな被害がありました。日本のメディアが知らないだけです。(もしくは、こんなアメリカ南部の田舎なんか日本人には関係ないワ、と真剣に取り上げていないのか?まぁどうせそんなところだろうなぁ)
各州を合わせて30人近くの人が命を落としました。

アメリカの各『州』の位置
アメリカの各『州』の位置です。
「アラバマ?ミシシッピ?ハァ?それ、どこ?」と思ったらご参照ください。


黄緑色の部分が今回のトルネードの通過したルート記録
黄緑色の部分が今回のトルネードの通過したルート記録。ペンで示している辺りが私の町


私の住むアラバマ州はミシシッピ州の東隣に隣接しています。当然、アラバマ州でも各地で相当な被害があり、私自身も今回は竜巻の通過10分前まで在宅していたため、ギリギリで避難しながら命の危険を感じるほどでした。残念なことに、私の住んでいるカウンティ(郡)でも2人の方が亡くなりました。

私の住む市では、3年前の2011年にも竜巻の被害があったばかりです。
(アメリカでは『市』の区分とカウンティ『郡』の区分の2種類が重なり合いながらも互いに異なる境界線を持つ)
その時はちょうど、ユーファウラでトーナメントがあったため私自身は遠征中でその場に居ませんでした。トーナメントが終わり、竜巻の通過後に数日が経過してから帰り、被害の様子を見て愕然としたのを覚えています。当時の写真はBasser誌の記事にも載せたので、ひょっとしたら記憶に残っている方もおられるかもしれません。

話を今回の竜巻に戻します。

私の住んでいる場所に竜巻がやってきたのは4月28日の夕方5時前ぐらいでした。郡内の各所に設置されている竜巻警報のサイレンが鳴り響き、ウェザーチャンネル(24時間天気専門のテレビ)を見ると、西側に竜巻が発生していて、あと数分でここまで来るという進路予想図が映っているではありませんか!

大慌てで愛車のフォードF-250スーパーデューティー・ピックアップトラックに飛び乗り、もっとも近所にある鉄筋コンクリートの大きな建物がウォルマートなので、そこ目指して一目散に走り始めました。
私の場合小さな賃貸住宅に住んでいるため、地下室やストームシェルター(地中に埋め込んだカプセルのようなプライベート避難所)が無いため、こういうときは逃げるしかないのです。
個人所有の一軒家では、突然の竜巻の到来に備えて庭にシェルターを設置している家庭が、この辺では多いです。シェルターがなくても、地下室がある家なら陸上の部屋に留まるよりも地下に降りることで、地上をワイプしていく竜巻からのリスクをかなり回避できるようです。

近所のウォルマートは、ハイウエイを時速60マイル(約100キロ)で5、6分走ったところにあります。そこへ着くまでの間、地元のラジオ局の放送を車内で聞きながら走っていたのですが、アナウンサーがドップラーレーダーのリアルタイムグラフを見ながら、「いま竜巻はXXストリートを北西へ向かって移動中!」という具合に文字通りの「リアルタイムレポート」をするんです。
そして驚くべきことに、ラジオから流れてくる竜巻の現在位置が、自分が走っているところにあまりにも近い!後ろを振り返ると、暗雲と大雨でかすんでよく見えないのですが、ラジオの実況中継から判断すると明らかにそのかすんだ真っ黒な雨雲の中に、巨大な竜巻があって、まさにこっちへ向かって進んできているはず。
時速60マイルで走るということがこんなにも遅く感じる経験というのは、なかなかありません。
そうやって必死に走っているうちに、ラジオから聞こえてくる竜巻の現在位置の速報が、聞き覚えのあるストリート名ばかりになってきました。聞こえる名前のほぼすべてが、知っている名前……そのとき、あ、これはうち(私の住んでいるポジション)は「通ったな」と確信しました。と、同時に「ひょっとしたら、もう自分の持ち物すべてが跡形も無く吹き飛ばされてなくなっているかもしれない覚悟」をしました。

お隣の家が竜巻に軽くタッチダウン
お隣の家が竜巻に軽くタッチダウンして壁が剥がれてしまった。
あと数十ヤードで私のボートやキャンパーが置いてある位置だけに、寒気がした。


ラジオの実況中継を聞きながら、確実に竜巻が町を通過するのを見計らった後、今度は帰宅するべく逆方向へと向かい走り始めました。ちょうど日は暮れて暗くなってきたタイミングで、まだ雨は降り続いていて、町中が停電しているので真っ暗で様子がよく見えない。
途中の道路で、けたたましくサイレンを鳴らしながら爆走していく何台もの消防車やポリスカーに道を譲りながら走っていくと、あと2分ほど走れば帰れる!というところで道路が封鎖されていました。ポリスが非常網を張って、その先へは侵入できないようにすべての車をUターンさせているようでした。…私、「その先」に住んでいるんですけど、と言っても通してもらえず。

…「その先」は、いったいどうなっているんだ?通行止めになっているということは??

ますます、これはヤバイかも!という緊張が走る。いてもたってもいられず、ハイウエイから住宅地の路地にそれ、細い迂回路を使ってなんとか帰宅しようと試みました。同じように、近所の住民であろう車が何台か列を成してそちらの方向へ走り始めた…ところが、また渋滞で止まってしまう。
停電で真っ暗な上に、雨が降っていて良く見えない中、先をよーく見ると、巨大な木が道路をふさぐようにバッサリと倒れ、それこそ湖でバス釣りをしているときにいつも狙っている「レイダウン」のように見事に行き先をふさいでいたのです。
しかし、ここは南部の田舎町。渋滞している列の中のピックアップトラックの男性が、トラックにチェーンソーを積んでいた!おそらく庭仕事関係の人と思われる。周囲の人々も手助けし、チェーンソーでその巨大な大木をバラバラにカット。車一台がギリギリ通れる幅が確保され、無事に渋滞は解消された!

まるでロールプレイングゲームのように次々と現れる障壁をクリアしていき、ようやく自分の住んでいるコミュニティにたどり着いた。
真っ暗で周囲には全くひと気の無い中、ピックアップトラックのヘッドライトで照らすと……ボートカバーはビリビリに破れているが、ボートとキャンパーは飛ばされずに残っていました。家も、壊れておらず大丈夫でした。まずはひと安心。

大木が風圧で根こそぎ倒れ…
これは自転車で行ける程度のご近所のお宅。庭の大木が風圧で根こそぎ倒れ…

竜巻で吸い上げられた木も上空から落ちてきた
竜巻で吸い上げられた木も上空から落ちてきた。お気の毒です…。


停電が続いていて、周囲は真っ暗なまま。一般的にアメリカの家庭ではなんでも「電化」されており、電気が流れてこないことには何もできずとても不便な生活を強いられるため、次は「どれぐらい先に電気が復旧するのか?」という心配をし始めなければなりませんでした。
幸い、数年前にガレージセールで格安購入したまま使うことも無く忘れかけていた2ストロークエンジンの小型発電機をまだ持っていたので、バスボートのガソリンタンクから残っているガソリンを抜き出し、バスボート用の2ストロークオイルを使って50対1で混合ガソリンを作り、発電機を動かすことができました。

激安の発電機に助けられるとは…
買ったことすら忘れかけていた激安の発電機に助けられるとは…。

CITGOの2ストオイル小ボトル
使わず眠っていたCITGOの2ストオイル小ボトル。
ある意味コレクタブルな貴重品です。その理由は…


BASSの公式スポンサーだった頃の10年落ち
かつてBASSの公式スポンサーだった頃のボート専用オイルなんですね。
10年落ち?だけど、背に腹は変えられず?ボトルを開ける。


発電機のおかげ
こんなハダカ電球一個を頼りにパソコンを使えたのも、発電機のおかげ


これで夜間はちょっとした明かり(ハダカ電球程度)を点けたり、小型の冷蔵庫ぐらいならなんとか動くので助かりました。
蛇口をひねると上水道はダメージが無かったのか?水が出てきたのですが、問題はどうやってこれでお湯を沸かすか(入浴)。家庭用の大きな電気温水器を動かすのは小型発電機の発電量ではさすがにムリ。
そこで思い出したのが、竜巻で飛んでいくことなく生き延びたトラックキャンパーにプロパンガスの湯沸かし器が内蔵されていること。プロパンガスのタンクもまだ残量があり、水道から庭へホースを延長してキャンパーにつなぎ、シャワーを使うことができた。

キャンパーのプロパンガス湯沸かし器が活躍
トラックキャンパーのプロパンガス湯沸かし器が活躍。

シャワーを使うことができた
シャワーを使うことができた。


ああ…キャンパー持っててよかった…これで入浴は問題解決。まさかキャンプ場以外でキャンパーのシャワーを、それも自宅で使うなんて思ってもみなかった。竜巻の被害がなかったらこれは無かっただろうな。

そんな調子で、テレビもつかず、インターネットも見れず、携帯電話も圏外のまま、停電は続き、数日が経過した。
3日後ぐらいにインターネット回線と携帯電話の電波が復旧したのですが、依然として電気は停電のまま。
発電機の電気を使って小型のノートパソコンをネットに繋ぎ、ニュースを検索してビックリ!!
なんと私がそうやって発電機で何とかしのいでやっているその数マイル先で…下手をすると徒歩か自転車で行ける位の近所で…数多くの家が倒壊し、大量の樹木がもぎ取られたり倒れたり、主な道路沿いの電柱は100本以上も倒れてしまっており、そりゃあずーっと停電したままだわな、という被害状況。
残念なことに、町内でも2人の方が竜巻から逃げ遅れて命を落とされたようで、けが人の数はかなりの模様。そういえば竜巻直後の数時間、ずっと救急車、消防車のサイレンが鳴り止まず聞こえていたなぁ…と。

町内で全壊したお宅
インターネット上に掲載されたニュース。町内で全壊したお宅。

竜巻で100本以上の電柱が倒れ、停電に
竜巻で100本以上の電柱が倒れ、停電に。


時間が経過して徐々にそういったニュースが入ってくるにつれて、町中がこれだけの被害を受けている中で、停電ぐらいで済んでいる自分はまだまだマシだと思うようになってきました。ごっそり丸ごと家が無くなった人、屋根が無くなって壁だけになったお宅、空から竜巻で吸い上げられた大木が屋根に落ちてきたお宅などを見るにつれ、ボートカバーが破れたぐらいで何も他に失ったものが無い自分はある意味「不幸中の幸い」だったと思いました。

竜巻通過後から5日たって、ようやく停電が復旧しました。
ああ、ありがたい、とあらためて電気のありがたさを痛感したと共に、100本以上も倒れた電柱をたった5日間でよく元通りに復旧できたもんだ、と復旧作業工事を行った方々の努力に敬服。

そんな調子で慌しく一週間が経過して、ようやく落ち着いて「生き延びた」とゆっくり実感することができた気がしました。
日本も地震、台風などの自然災害がありますし、アメリカでもハリケーンの怖さは何度か体験したことがあります。
アメリカという国は(特に中西部から南部にかけての地域でのみ)世界でも最も大きな竜巻が発生しやすい地域だということは理解していましたが、広範囲にわたって影響のあるハリケーンなどのストームと違い、「点」で被害が移動していくトルネードは、面積の比率と「点」との遭遇率の関係から、アメリカに住んでいてもなかなか実際に目の前で経験する確立は(ストーム被害に比べて)低いと思います。でも、10年以上も南部に住んでいたら、見事に遭遇しました。

トーナメントで遠征に行っている間に竜巻が通過して、数日後に家に帰ってきたら近所で被害があったということは過去にありましたが、今回は身をもってトルネード(竜巻)の怖さをリアルタイムで思い知りました。
あと数分逃げ遅れていたら命の危険さえも伴った今回の竜巻の経験。
今後の自分の人生観さえも変えてしまうほどのものでした。

竜巻で命を失った方のご冥福をお祈りすると共に、大きな怪我をされた方、資産を一瞬で失った方、皆様の一日も早い回復をお祈りいたします。


以下のリンクは、航空写真を撮影するプロカメラマン、マーティー・セラーズ氏のサイトに公開された、今回の竜巻の被害を撮影した写真のスライドショーです。

マーティー・セラーズ氏のサイト
http://sellersphoto.com/20140428storm#hd7e68eb

写真番号28以降が、私の住む町をとらえたもので、時々ボートを降ろしに行っていた近所のボート用マリーナもめちゃくちゃになっている様子が。同じ町内でここまでの被害があったことに心が痛みます。

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